kouen日記

夢の島通信      夢の島プロジェクトHP


夢の島プロジェクト 1st Festa

『 鍋 と 乙 女 』
作 : 佐 藤  剛 史(伽藍博物堂)   演 出 : 渡 辺 泰世志

三人の乙女が織りなすハートフルコメディ。おせっかいな恋愛相談は、いつの間にかあらぬ方向へ…。

CAST : 林田小都喜 ・ 畑木真規子 ・ 玉越めぐみ



『 隣 の 奴 』
原作 : 宮尻博文   脚色 : 鰻家喜平治   演 出 : 渡辺泰世志

抱腹絶倒。前代未聞の個室コメディ。

CAST : 八重樫剛 ・ 渡辺泰世志


STAFF
演   出 : 渡 辺 泰世志     舞台監督 : 鈴 木 鉄 兵
音   響 : 畑 木 宏 支      照   明 : 島 津  敬 
技   術 : 八重樫  剛       衣   装 : 畑 木 真規子
広   報 : 林 田 小都喜     小 道 具 : 玉 越 めぐみ
声の出演 : 島 田 優 子                       
 制   作 : 夢の島プロジェクト

ご協力、感謝感激雨あられ
Living House織千 ・ 劇団からっかぜ ・ 伽藍博物堂 ・ 刹那的演劇集団散蓮華
佐藤剛史 ・ 宮尻博文 ・ 鰻家喜平治 ・ 家本典幸 ・ 浜田敦夫 ・浜北文化協会
浜松市浜北中央公民館 ・ (財)浜北振興公社 ・ 当日お手伝いくださった皆さん
観に来てくれた皆さん ・ メンバーの家族の皆さん

期 日 : 平成18年11月25日(土) 午後7時30分開演
                 26日(日) 午後2時・4時開演
上演予定時間約30分   開場は開演の20分前

※ 26日(日)午後2時開演の回は、お子様(乳児、幼児問わず)連れでの入場可といたします。
少々騒がしくなるかもしれませんがお互い様でお楽しみください。
なお、周りのお客様にご迷惑な状況になった場合には何卒ご協力くださいますようお願いします。
ちなみに上演するのは特別お子様向けの作品というわけではありませんのでご了承ください。

会 場 : 浜北文化センター 2階 展示室
(浜松市貴布祢291−1  遠州鉄道浜北駅から徒歩5分 無料駐車場あり)

入場料 : 200円
(当日・前売共)
※ 未就学児は無料



○ 11月25日(日) 初日

 小屋入りは8時30分。その1時間前に鉄兵ちゃんに我が家に来てもらう。荷物が多くてウチの車だけじゃ積み込みきれないし、一人じゃ運べないものもある。忘れ物がないようにチェックリストを手に確認しながら大道具、小道具を車に積み込んでいく。
 昨夜まきちゃんから発熱したとの連絡があった。僕もLABO/1に出演した際に初日前夜に高熱にうなされたことがある。「穴を開けたらみんなに顔向けできない。もう芝居できないかも…。」なんてことをボーっとしている頭の中のわずかな思考力で考えていたっけ。たぶんまきちゃんも同じように不安いっぱいになっていることだろう。小屋入りはゲネプロ直前でいいから身体を休めるようにと指示する。そのことを鉄兵ちゃんに告げると「ありゃ〜。」と心配するが、それほど不安そうではない。さすがイベント慣れしていらっしゃる。“始まるまでは悲観的 始まったら楽観的”がイベント運営の極意。起きてしまったことを後悔しても挽回できないし、原因は後で反省すればいい。今はその時々でベストを尽くす。そんなアクシデントも含めて「う〜ん、ワクワクしてきたぞ〜。」などとイベント好き同士、鉄兵ちゃんと話しながら会場に向かう。

 定刻小屋入り。事務室に挨拶して展示室に搬入を始める。今回のFestaは夢の島プロジェクトが初めて開催するイベントということもあるし、浜北文化センター展示室で芝居をやるというのも初めてのこと。もちろん事前に仕込み図面を作ったりしてできる限りの準備はしたが、前例もノウハウもない中での仕込みは暗中模索。一つ思惑から外れたことが起こればその対処に予想もしない時間を要する。ゆえに早め早めに進めて時間にも心にも余裕をつくりたい。そのために作ったのが「実施プログラム」、解りやすく言えばスタッフの行動一覧表。レクリエーション関係のイベントでは一般的なもので、鉄兵ちゃんと一緒に関わっていたYYアドベンチャーでも必ず作っていたものである。読めば自分がこの時間何をして、どんなことに気をつければよいか、そのために必要な物品も一目瞭然の代物だ。準備工程がリーダーの頭の中にしかなくて、他のスタッフは指示がなければどうにも動けないというのは無駄が多い。「実施プログラム」がしっかりしていれば、指示がなくてもリーダーの考えが理解できるし、万が一リーダーが不在になっても準備を進めることができる。2日間で20ページを超えるボリュームなので全部目を通した人は少ないだろうが、それでもメンバーの動き方がスムーズなのは「実施プログラム」を作っておいて良かったなと思う。
 一方ことちゃんめめちゃんの小屋入りはゲネプロ前。小さな子供のお母さんを丸々2日間拘束するわけにはいかない。がっしーさんも地元行事(これも大事)で朝一からの参加は叶わず。そういった中でまきちゃんの体調不良は単純に人工が減って正直痛いな〜(畑木は遅れて一人で馳せ参ずる)と思ったが、何とめめちゃん旦那さんが芝居経験がないのにも関わらず午前中の仕込を手伝ってくれることになった。他にもプロジェクト熱はっしーと元浜松キッド島田さんが朝一から手伝ってくれている。やれ、ありがたや人的ネットワークに助けられてます。

 まずは3階に保管されている浜北文化協会所有の展示パネルを2階の展示室へ。仕込み図を元に柱と組み合わせて並べていく。これに厚手のカーテン生地をアレンジした幕を張って舞台を設えるのだ。本当はしっかりとした大道具を作りたいし、展示パネルに幕を張っただけのセットを「安直だ。」と批判する演劇関係者がいることも知っているが、大道具製作はその手間はもちろん、製作場所から会場までの輸送とか、その後の保管(または廃棄)もかなりの労力をを要する。現状の夢の島プロジェクトでは輸送もその後の保管も難しいため敢えてこのような形にした。ただ逆に言えばこの幕さえあれば“どんな所でもFesta開催が可能”となる。そんな考えから決して安くはなかったが幕を作製したのだ。
 その幕を舞台上の展示パネルに張って画鋲や安全ピンでとめていく。舞台以外はこれも浜北中央公民館からお借りした黒幕を張る。めめちゃん旦那さんが幕張班のリーダーになっていろいろアイディアを出してくれたのでとても助かる。こうして何も無かった展示室が昼前には立派な演劇スペースになってきた。舞台裏や楽屋の準備も順調に進み、照明、音響の仕込みと客席の設営を残すくらいとなった。気持ちにも余裕が出てきて、みんなで食べるホカ弁の旨いこと旨いこと(^^)。

 午後からは照明の仕込みが本格化。同時に客席の設営を始める。照明は通常の演劇用ライトではなく、ホームセンターなどで売っている100Wのクリップライトを使用。部屋の照明(蛍光灯)を使うことも考えたが、可能な限り本格的にしたいし、将来的に“どんな所でもFesta開催が可能”にしたいのでコツコツと買い込んでいた。これを家庭用延長コードで蛸足配線し、省エネタップにつなげる。これでとりあえず系統別のON、OFFはできるようになる。欠点は光の強弱の操作はできないことと、ライトの性質上赤っぽい光になること。強弱の方は演出上でも必要なしと判断したのでいいが、赤っぽい光は何とかしたいところ。とは言え通常演劇の照明で使う鉄枠にはまったフィルターでは重過ぎてクリップライトには付けられない。知人からフィルターを貰いうけたので、畑木に「何か細工してみてよ。」とお願いしたらダンボールとマジック、黒ガムテープを駆使してそれらしく作ってくれた。クリップライトに付けるとまるで本物! みんな天井を見上げて「すげぇ〜。」と感嘆の声。配線の方は「見栄え良くね。」といういい加減かつ分かりやすい演出(僕)の指示を受けて照明担当の島津がえらく苦労しながら天井にくくりつけていく。(申し訳ない!)

 客席は最前列に僕の家から持ち出した人工芝シートの上に畑木家から借りた座布団を2列に敷いて桟敷席とし、その後ろに展示室備え付けのベンチシートを2列に並べる。舞台が客席と同じ高さの場合、同じ高さでの客席設営は2列が限界。3列目になると前のお客さんの頭が邪魔になって舞台が見えなくなってしまう(これを“縦見切れ”と言う)。今回は2列のベンチシートの後ろに劇団からっかぜさんからお借りした箱馬と二重(平台、さぶろくとも言う)を設え、その上に浜北体育館から借りたパイプ椅子を壁に沿って並べる。これで通常席49(+車椅子席2)の客席が完成。客席から舞台を見、舞台から客席を見て「うわぁ、俺、この舞台に立てるんだぁ。」と実感が沸いてきた。

 作業は細かいものに移行。旦那さんに代わって午後から小屋入りしためめちゃん『隣の奴』で使用する洋式トイレと『鍋と乙女』で使うソファをパイプ椅子に布を撒きつけて設える。鉄兵ちゃん島田さんはっしーの指導により蓄光テープをセットや道具類に貼り付けていく。暗転中にセットに激突して倒壊でもしたら大変である。地元行事を終えて小屋入りしたがっしーさん畑木と音響のセッティング。今回の音響はパソコンにデータを入力する方法。正直アナログ人間の僕にはよく分からないのだが、いざという時のことを考えてパソコンを2台持ち込んだのはさすが。

 目処がついたところで受付会場の準備。お客さんの流れを考慮して机を並べ、当日パンフレットにアンケートと他公演の折込チラシを挟んでいく。めめちゃん島田さんは会場外にチラシを貼り付け、可愛いイラストを書いてお客さんを迎える準備。小屋入りしたことちゃんが入り口から客席、舞台を見て「凄〜い!」と感嘆の声をあげる。うん、確かにこれは凄いよ。
 その頃僕と島津は照明の場当たり。実際に『鍋と乙女』『隣の奴』の道具類をセッティングし、がっしーさんことちゃんに座ってもらって調整していく。う〜ん、地明かりは何とかなったが、やっぱり家庭用のスポットライトではどうしても光が拡散してしまって舞台専門のピン・スポットのようにはいかない。まぁこれは残念だが今回は諦め。次回までの宿題となった。きっかけ合わせは前々日にほぼ終わっていたので今日は最終確認のみ。

 この頃には絶賛発熱中で見るからに体調悪そうなまきちゃん畑木に連れられて小屋入り。全員揃ったところで場転の段取りを確認する予定だったが、まきちゃんの状況を見て負担をできるだけ減らすべく、代わりにはっしーに場転要員をお願いする。実はこれまで場転について全く確認しておらず、大袈裟に言えば「最後の難問」だった。照明を落として(光量落とした青いライトは点けるが)の場転は手際よくして如何に時間を短縮するかが重要。長い時間真っ暗だったり、バタバタと行き交うスタッフの足音が聞こえたり、ドタンバタンと大道具を運ぶ音が聞こえたりしてはお客さんが興ざめしてしまう。『隣の奴』から『鍋と乙女』へのスムーズな転回。事前に考えていた段取りをメンバーに伝え、照明を点けたままやってみて確認。その後『隣の奴』のラストシーンから実際に照明を落し、曲を流してやってみる。時間は1分弱でギリギリセーフ。場転の目処がたってホッとした空気が流れる。もっとももっと前に確認しておけば気に病む必要がなかったのだが。
 場転確認で照明を落としてみたら、展示室内の非常灯の光がかなり明るいことが判明。はっしーに非常時にすぐ外せる形で隠すようにお願いしたらダンボールを使って巧く細工してくれた。名付けた異名が「ダンボール・アーチスト」。みんな器用なんだなぁ。ホントに助けられてます。

 さて次はゲネプロという段階になって、今まで余裕があったのに時間が押し気味になってきた。何故だ? 役者は大慌てで着替えをし、スタッフも最終チェック。前説から本番さながらにスタート。今夜の前説担当は畑木。「伝えるべきことをちゃんと言えば、後はいくら遊んでもいいよ。別に被り物(キッド風の前説)をせんでもいいし。」とは言ったのだが、『GATSBY』CMのキムタク風の衣装と髪型を仕込んできて、携帯で曲を鳴らして歌いながら登場。期待を抱かせたが、説明と退場は素のままだった(・・;)。せっかくだからもう少し遊べばいいのに。

 初めて照明と音響を入れて、スタッフとは言え第三者に見てもらうゲネプロ、気合が入るよ。アマチュア劇団の場合、小屋入りしてから稽古場と本番の舞台の大きさの違いに戸惑うことが多いが、今回稽古時から舞台実寸を意識してきたのでその辺もスムーズ。何かと事前に準備してきたことが大きい。前説と僕が出演する『隣の奴』ことちゃん『鍋と乙女』は僕がダメ出しをする。
 ゲネプロ中にうに5%田辺さんが受付スタッフとして手伝いに馳せ参じてくれた。ありがたや。

 この頃には会場外の廊下にはお客さんが集まりだしていた。夢の島プロジェクトの芝居を観にきてくれた人たちだ。喜びとともに少しずつ緊張感も高まっていく。役者・スタッフがそれぞれ最終確認をしたうえで舞台裏に集合。メンバーにこれまでの感謝、今日手伝ってくれる仲間に御礼の気持ちを伝える。ここまで無我夢中でやってきたが、みんなの前に立ったこの時初めて「俺このイベントの総責任者なんだ…。」と実感した(遅い)。
 活劇団シアターLABO/1流の円陣気合入れをする。いろいろな劇団で幕開け前の儀式を経験したけど、このLABO/1にお手伝い&出演時に経験した気合入れが一番自分に合っていた気がするのでそのまま夢の島にも導入(パクリ)。円陣を組んで手を合わせ、僕が「演劇はー!」と叫ぶとみんなが「気合だー!」と叫ぶ。これを三唱し、最後に「オーッ!」と締める。
 舞台監督鉄兵ちゃんの指示で開場。受付から「いらっしゃいませ。」というお客様を迎える声とお客さんのざわめきが、役者が控える舞台裏に聞こえてくる。客席を堂々とのぞくわけにはいかないのでよく分からないが、客入りは上々な様子。ここからはリーダーでも演出でもなく、一役者としての時間だ。僕の開演前の儀式、まずはスタッフ、共演者と握手を交わす。それから両手を合わせ、それを口に当てて集中力を高める。他のメンバーもそわそわと落ち着きが無い。客席に聞こえぬ程度の小声でおしゃべりを続ける人、衣装の上にコートを着込んでこっそりと何度もトイレに行く人(ホントはいけないんだぞ〜)、今一度台本を見直す人…。ほとんどがしばしの中断期間を経ての役者復帰。押さえようにも緊張が高まってくる。さぁ。いよいよ開演!

 前説畑木の登場。『GATSBY』CM曲を歌いながらの登場は客席ざわめいたが、説明と退場時には静まった。う〜ん、やはりもう一捻り。とは言え前説まで気を配れなかった演出(僕)の力不足もあるが。
 今回の企画がスタートした段階では『鍋と乙女』だけでのFesta開催を考えていたため、稽古中「夢の島のスタートはめめちゃんの一声から!」なんて脅かしていたものだが、急遽『隣の奴』の参戦が決まり、第一声のお鉢が僕のところに回ってきてしまった(^^)。暗転し曲が流れ、再び照明が点いていよいよ登場。台詞を言いながら舞台に出て行ってびっくり! 客席が満席とは言わないまでもほぼ埋まってる! ちなみにこの日の有料入場者数40名。客席から近い舞台から見ると一見満席にも匹敵する迫力である。あ〜とうとう幕を開けたんだ。俺、お客さんの前で、舞台の上で、照明を浴びてんだ。
 滑り出しも流れも、がっしーさんとの掛け合いも決して悪くなかったがお客さんの反応が少ない。トイレに駆け込んでズボンを脱ぐシーンで桟敷席最前列の女性たちから「えっ、えっ、えっ〜!」って声が聞こえてきたくらいで、最も期待する笑いは全くと言っていい程ない。自分たちはあまり感じていないが2人共久々の舞台、やはり緊張から固くなっていてそれがお客さんに伝わってしまっているのか? その雰囲気は『隣の奴』が終わり、場転を経て『鍋と乙女』になっても変わらず。舞台裏で声を聞く限り反応があったのは真由がグラスの代わりにお玉でワインを飲むシーンと、ラストで朋美が二股かけられていた相手が以前真由が詐欺(?)にあった相手だったことが判り、包丁を持って登場するシーンのみ。何故だろう? 何が足らないのか? ウロウロ歩きながら演出として原因を探る。
 もっともお客さんから反応があった2つのシーンは演出として力を入れたところで、胸の中で少しガッツポーズ。特にラストの真由が包丁を持って登場するシーンは、そこまでとは空気を変えて欲しいと稽古中言い続けていたのだが納得できる出来に至らぬまま本番を迎えていた。舞台裏で伺う限り、間違いなく空気がガラッと変わった。本番で求めるものをこなしてくれた3人に感謝だ。まきちゃんも場転も自らこなして頑張ってくれたよう。明日は体調復活するといいなぁ。

 カーテンコール。一人ずつ舞台に出て行き、揃ったところで挨拶。実はこの挨拶も当初は僕がしゃべる予定ではなかった。舞台は役者のもので、例え主宰者や演出であっても役者でなければノコノコとお客さんの前に出て行くべきではないと考えているので、『鍋と乙女』だけでのFesta開催を考えていた頃は「挨拶はことちゃん!」などと言っていたが、結局自分が挨拶することになった。でも夢の島の第一歩でもあるし、このFestaにかける想いを自分自身で話すことができたのは良かったのかも。その後客出し。他劇団の主宰者や高校演劇の指導者の方、意外な人が来ていてくれたりして喜びこの上なし。「おもしろかった。」という感想から厳しい意見までいろいろ聞けて参考になった。一部仁義に欠けた発言には少々苛立ったが。

 翌日の確認&打ち合わせをして解散。1ステージしかないと慌しくバラシをしなくてならないが、明日もあるので余韻に浸ることができる。スタッフや体調が思わしくないまきちゃんと一緒に畑木は帰宅したが、それ以外のメンバーはアンケートに目を通したり、差し入れの中で生ものを配ったりしてまったりと過ごす。閉館時間になって重い腰をあげたが、冷え込んできた駐車場で雑談が続く。この場を去り難いのだ。みんな芝居に関われた幸せを噛みしめている。いい顔してるよ。


○ 11月26日(日) 2演・楽

 小屋入り時間まで自宅で前日のビデオ鑑賞。何が足らなかったのかを探る。『隣の奴』『鍋と乙女』もリズムと言うか、テンポに変化が無いかな? 緩急がない。間を取るべきところでしっかり間を取るようにするといいかも。

 予定通り男性陣は9時30分に小屋入り。各々確認作業をするが、前夜にほとんど終えているため、またもや待ったりモード。“始まるまでは悲観的 始まったら楽観的”で事前に重箱の隅を突くように準備をしてきたことが生きている。イベント好きとしては凄く嬉しいものだ。「11時でいいよ。」と言っていたのだが、ことちゃんめめちゃんも10時頃には小屋入り。今朝のビデオ鑑賞を受けてのダメ出しを伝える。

 本日の当日スタッフは元シアターLABO/1めぐ、元浜松キッドはなちゃんに、現役浜松キッド桐生クン遠藤さん、さらには元シアターLABO/1主宰のTALOHさんと、実に多彩な顔触れが集まってくれた。いろんなステージで世話になり、一緒に芝居を創った仲間だ。芝居は演じる役者がいれさえすればいい訳ではない。舞台監督や音響、照明などもそうだが、受付でのチケットのもぎりなどの多くの裏方がいなければ幕を開けることはできない。本当に感謝である。

 11時になって早めの昼食。やはりみんなで食べる楽屋弁当は旨い(^^)。が、まきちゃんが昨日よりさらに容態が悪化したらしく、「ゲネプロもキャンセルさせて欲しい。」と畑木から連絡が入る。う〜ん困った。本番のためにとにかく身体を休めるように伝えるが、メンバーに不安が走る。
 時間になったのでゲネプロをと思ったが、『鍋と乙女』は役者1人(まきちゃん)いないし、『隣の奴』も音響、照明きっかけが多い芝居で音響(畑木)がいない。この期に及んで代役を立てるのもかえって調子を崩す恐れがある。さてどないしようと思案するが、ことちゃんめめちゃんが「代役でもいいからゲネやりたい。」と言ってくれたので、鉄兵ちゃんを代役にしてスタート。鉄兵ちゃんを相手にする2人の演技がいつもと違って新鮮(^^;)。やはり鉄兵ちゃんのところで台詞が詰まって流れが止まってしまうのは仕方なし。それでも台詞のチェックができてことちゃんめめちゃんも安心したよう。僕も改めて客席から確認ができてよかった。気付いた点を少しダメ出し。

 この頃になってTALOHさんから「駐車場がいっぱいになってる。」との衝撃の事実(!)がもたらされる。大ホールで高校演劇の県大会が開催されていることは把握していたが、小ホールで舞踊の発表会が行われているとか。文化センターのように駐車場などを共有する施設では同じ日、時間に行われる他のイベントの人出を把握しておく必要がある。高校演劇は自分とこの子の出番に併せて来場し、終われば帰っていくという情報を得ていたのでさほど心配はしていなかったのだが、舞踊の発表会は把握していなかった。失敗したなぁ。まぁ舞踊発表会は出演者一人一人が朝イチから荷物いっぱい持ってやってくるが、自分の出番が終われば三々五々帰っていくことが多いので、昼過ぎには多少空くだろうと淡い期待に望みを託す。めめちゃんは来場予定の友人に早めに来るようにメールしてる。結局駐車場に関する苦情は聞かれなかったので結果オーライかな?

 2演目の開演時間が近づいてきて、まきちゃん畑木に連れられて小屋入り。明らかに具合が悪そう。とは言えやるべき身体のメンテはしたので後は本人の頑張りに頼るしかない。とりあえず2演目の幕は開けられそうだ。それぞれ最終チェックをし、舞台裏に集まって「演劇は気合だ〜!」三唱、そして開場。
 今日の昼公演は「子連れOK」の回。我々メンバーの多くが子どもがいつつ家族の協力を得て今回のFestaを迎えている。同じように子育て中でなかなか芝居を観る機会を持てない方たちにも、我々の芝居で良かったらお子様連れでゆっくり観てください、というわけ。通常の芝居では子どもが騒いだりすると他のお客さんの迷惑にかけるから、どうしても遠慮がち(たまに全く遠慮しない人もいるが)になってしまう。今日は子どもが多少騒いでもお互い様で行きましょう、という趣旨である。「おうちかえる〜!」とか「こわい〜!」って泣かれたらどうしようって心配もあったが、それ以上にそもそも趣旨が伝わらずに家族での来場が無かったらがっかりだなと思っていた。が、舞台裏に聞こえてくる声の様子ではこどももそこそこ来てくれているようだ。
 本日の前説担当は鉄兵ちゃん。「皆さん、こんにちわ〜。」との第一声はレク・イベントっぽくっていいよね。昨日の畑木もそうだが実に個性的なメンバーが集まってくれてるよ。ただし鉄兵ちゃんは元気良すぎて子供がびっくりしないか冷や冷やしたが(^^)。入場してすぐに泣き出しちゃってずっと会場外にいた子がいたが、それは鉄兵ちゃんのせいではない。
 『隣の奴』の幕開き。台詞を言いながら舞台に出て行くと、客の入りはそこそこ。子どももそれなりに。この回の有料入場者数27名だけど満席に見えたのは子ども連れが多かったのだろう。昨日の反省を踏まえて緩急をつけることを意識しての舞台。間を取るべきところでは思いっきり間を取ってみる。子どもが多かったこともあり、トイレが舞台の芝居は爆笑こそなかったが昨日よりは客席の反応が良かった。複数回ステージをやると、その度にお客さんの反応が異なるのがおもしろい。惜しむらくは2人とも1・2ヶ所台詞が詰まったところと2ヶ所ほどの照明のミスかな? 一方の『鍋と乙女』は舞台裏で台詞を聞く限り台詞の間違いもなく良い出来。う〜ん、演出として客席で観たいぞ。楽は自分の出番が終わったらこっそり観に行こうかな。

 家族連れに囲まれて会社の直属の上司が観に来てくれていたのは驚くやら感激するやら恐縮するやら。またメンバーの家族も来場。Hちゃんも観に来ていた。見慣れないカッコで照明を浴びているパパを、Hちゃんは不思議そうな顔で観ていたそうで(^^)。

 客出しを終えて千秋楽(最終公演のこと)のために、『鍋と乙女』のセットを舞台裏に移動し『隣の奴』のセットを舞台へ。体調不良のまきちゃんは桟敷席の座布団に身を横たえて体力温存。写真係をお願いしたTALOHさんが2演目の写真を見せてくれる。ゲネプロ時の鉄兵ちゃんの写真で一同大爆笑。まきちゃんも写真を見て顔を和ませる。気持ちを上向きにすれば体調も一時的にせよ良くなる(気がする)。何とか千秋楽も乗り切れそうだ。

 あっという間に開演直前。1回終えてホッとしているところを再び緊張感を蘇らせなければならないので、1日複数回ステージは気持ちの整理が大変である。最後と言うことで舞台上で「演劇は気合だー!」三唱。そしてスタッフ、共演者と改めて握手を交わす。何だか次が最後だということが信じられない。
 千秋楽の入場者数は26名。ちょっと寂しいが、日曜の夕方や夜のステージは比較的動員が難しいようだ。3ステージ合計100名動員を目標としていたが、有料入場者数としてはわずかに及ばなかった。それでも初めてのFestaでもあり、メンバーの個人HPやチラシの手配りでの結果としては満足できるもの。目標達成は次回Festaへ延期である。

 聞きなれた曲がかかって携帯を片手に舞台に出て行く。と、桟敷席最前列中央に鰻家喜平治さんが座っていてびっくり(^^)。オリジナルの役者の目の前で同じ役を演じるのは妙な気分です(不思議と緊張はしなかった)。

 『隣の奴』  … 取引先に呼び出されている会社員と、ヒーローショー出演前のイエロー。
           腹を壊して飛び込んだトイレの個室に紙がない! 隣の個室を意識しながらの悪戦苦闘。
           抱腹絶倒。前代未聞の個室コメディ。

 『鍋と乙女』 … 彼氏が二股かけていたと傷心の朋美を励まそうと鍋パーティを開く真由と涼子。
           三人の乙女が織り成すハートフルコメディ。おっせかいな恋愛相談はいつの間にかあらぬ方向へ…。

 発足して5年。Festaを企画してから1年ちょっとの集大成。多少の台詞の詰まり(僕です。一瞬頭真っ白)や、小道具の大根が落ちた(『鍋と乙女』の冒頭)、本番中にお菓子食ってむせて台詞が吹っ飛んだ(めめちゃん。だから稽古でやってないことは止めとけって言うに)など、アクシデントはあったが、みんな舞台上で活き活きしていた。自分の出番と場転が終わり、汗拭き用のタオルで顔半分隠し客席最後列に移動。『鍋と乙女』の“本番”を始めて観る。稽古場の最前列(?)で演出として観ていた芝居が今お客さんの前で演じられている。役者の演技とお客さんの様子が観察できて、何だか不思議な気分。

モバイル・イエロー役のがっしーさん(八重樫剛)
 社会人になって10数年舞台から離れていたが、元々学生時代は下北沢の住人。復帰作が僕などの演出(実際は自分の演技に精一杯でろくろく演出できなかった)で申し訳ない気持ちいっぱい。背が高く、マスクのいいので舞台栄えするのが羨ましい。「役のバックボーン(性格や産まれてからの経歴など)を考えるのが好き。」と言うだけあって役創りの深さには驚かされ、勉強にもなった。メンバーの中で唯一の年上ということもあり、僕にとっては何かとその存在が大きかった。共演できたことを誇りに思います。コメディ慣れしていないかな?と思う面もあり、思いっきりコメディという芝居を演じるがっしーさんを観てみたい。ぜひ一回じっくりと“演出”させてください。

会社員役の私なべ(役者としての感想です)
 初演出とFesta全体の準備&運営のために演技に集中できなかったのは不徳の致すところ。我ながら「もっといろいろできたはず!」と思うし、役者としての楽しめたとは言い切れない。元々がどちらかと言えば不器用な役者だからね。初演出で役者兼任は少々無理があったのかも? まだまだ精進が足りない。しかしながら高校時代演劇部だったに「いままでと比べて自然で下品じゃなく良かった。」と言われて少しホッとした(今までが下品だったってこと?)。

朋美役のまきちゃん(畑木真規子)
 キッドではセレブの中年婦人とか雑誌社のキャリアウーマンとか劇団の女座長とか、年齢もキャラも実際とかけ離れた役ばかりだったので一度実年齢に近い役をやらせてみたいと考えていたが、思ったとおり演技が自然でおもしろかった。結婚準備など、いろいろ忙しくて稽古に来られなかったのに、新婚旅行から帰国して稽古に来たときにはしっかり台詞を暗記して、台本を手放して通し稽古に挑んでいた。表情による表現を豊かにすればもっと役者として成長すると思う。体調不良の中、3ステージしっかりこなした根性には感心。次はベストな状態での演技を観てみたい。

涼子役のめめちゃん(玉越めぐみ)
 女性3人で唯一共演したことがなかったし、劇団テクノポリスで出演した作品も観たのだがよく覚えてない(失礼!)ので、稽古開始当初はどんな演技をするのだろうと楽しみであった。本人は「下手だ〜。」「アドリブ苦手〜。」などと叫び続けていたので敢えて涼子役に据えたのだが、これを僕の望み以上に演じてくれた。稽古の度にいろいろアイディアを仕込んできてくれて演出を助けてくれた。舞台経験を積んでいけば凄く面白い役者になるだろう。『隣の奴』の便座や『鍋と乙女』のソファーは彼女がパイプ椅子にカバーを被せて設えたもの。その技には実に驚かされ、これまた大いに助けられた。

真由役のことちゃん(林田小都喜)
 「笑ってもらえる役者じゃない。」と自称。確かにどちらかと言えば女性ながら2枚目役者(実際こうこう演劇部では男役ばかりだったとか)。でもそういう人こそ実はコメディ向きなのだと思う。ちゃんと“芝居”として成立しているコメディ。『鍋と乙女』をやることが決まった時に真由役は彼女しかないと思った。日常どこにでもある1シーンを切り取った芝居には、殊更滑稽な演技や下品な内容は似つかわしくない。真面目な演技の中に面白さがある。その望みどおりに15分という短い話をしっかりと“芝居”として成立させてくれた。茶色の鍋の絵が印象的なFestaチラシは彼女の手によるもの。豊かな才能に助けられた。

 以下写真はないがスタッフの面々。

舞台監督の鉄兵ちゃん(鈴木鉄兵)
 演劇経験は無いがイベントスタッフ経験は豊富。それゆえ安心して舞監を任せられた。初めて総責任者としてイベントを開催するのに、彼がいてくれたから長年活動していたYYアドベンチャーの時のように平常心でいることができた。前説はさすが“レクのお兄さん”である。『隣の奴』でのリアルなオナラの音は彼が腕に口を押し付けて出したもの。その音色は芝居っ気たっぷりだった。

音響の畑木(畑木宏支)
 芝居の取り組む姿勢は真面目そのもの。ゲネプロの際、後で『隣の奴』のダメ出しをするべく客席にいたことちゃんに「前説もダメ出しを。」とお願いしていた。慣れない音響に悪戦苦闘した様子。でも裏方もいい経験になるっしょ。

照明の島津(島津敬)
 先月浜松キッドの公演を終えたばかりで疲れているだろうに、人手不足を見かねて手伝ってくれた。稽古を観ての感想を聞くとかなり的確な意見を返してくる。いつか彼の演出作品を観てみたい。いや、その前に彼の演技を演出してみたいなぁ。どないだ?

声の出演島田さん(島田優子)
 夢の島プロジェクトの稽古に参加してくれていて2ndないしは3rd Festaで僕と共演する予定だったが、この度目出たく婚約。それを機に演劇活動に一線を引くことにしたとかで今回が最後の“演劇出演”。以前声優を目指したこともあり、『隣の奴』で使用したデパートのアナウンスの声は本物と勘違いした人もいたのでは? 最後なんてもったいない。いつかきっと共演しましょう!

 『鍋と乙女』が幕となって暗転し、最後のカーテンコール。一番に出て行ってお客さんに一礼し、一人ずつメンバーを舞台に呼び入れる。みんな充実感いっぱいの顔をしているよ。めめちゃんは涙ぐんでる。“芝居”をやりたい思いをそれぞれに抑えてきたメンバーたち。その思いが一つの形となってここに結実したのだ。

 客出しが一段落した後、舞台上に机を並べて小打ち上げ。通常の芝居公演ではバラシが終わった後に居酒屋などに繰り出すのだが、夢の島プロジェクトの場合は子どもを持つ女性メンバーは早目に帰らせてあげたい。でも当日に何もしないのも寂しいもの。そこでバラシより先に、お酒はなしだが1時間ほど語り合おうというわけ。鰻家喜平治さんやそのお友だちの宇賀磨さんTALOHさん浜松キッドの新旧メンバーなど、これまで言葉を交わす機会がなかった人同士でFestaの感想やこれまで観た芝居など、芝居談義に花が咲く。こうした演劇人の交流も夢の島の活動の中で期待したことで嬉しい。体調不良で2日間のFestaを乗り切ったまきちゃんも少し復活したようで、みんなと楽しい時間を過ごすことができたようだ。鰻家さんからは「いいイベントだった。」と感想をいただいて内心ホッとする。『鍋と乙女』でワインと称して使ったアセロラジュースをみんなで味見。TALOHさんは「こんなの飲みながらよく台詞言えたね〜。」とのたまう。確かに、僕も口に合わないなぁ。「美味い!」という人もいたが。

 1時間ほど語り合ってバラシ開始。当日スタッフの皆さんに加えて鰻家さん宇賀磨さんも手伝ってくれる。イベントの準備は段取りが重要だが、後片付けは段取りよりも人手多く一気に進めるのが理想。2日間まさに“夢の島”だった会場はみるみるうちに展示室に戻っていく。ガランとした展示室を見渡して「何だか寂しいよね。」と鰻家さんが言ってくれた。それぞれの車に荷物を積み込んで解散。去り難い一部のメンバーは、鰻家さん宇賀磨さんと一緒に食事に出かけ、11時頃までお互いの感想を語り合った。終わってしまったなんて信じられない気分だよ。

 観に来てくださった皆さんの感想は概ね好評。短編のコメディは得てして単なるコントになりがちだが、『鍋と乙女』『隣の奴』ともにしっかりと芝居として成立している台本だったことが大きい。作者の力量に脱帽。しかし「時間が短かった。」「もう少し観たかった。」との意見もあり、我々の現在の演技力では、短編2本だけではお客さんを満足させるのは難しかったようだ。もちろん他に厳しい意見も多数あり。何より“コメディ”を標榜しながら笑いが少なかったことは確か。まだまだ何かが足りないのだろう。ただ千秋楽などはお客さんもかなり和らいだ雰囲気だったので、僕が目指す「滑稽な動きや下品な表現で無理やり笑ってもらうのではない、間と空気感で笑える自然なコメディ」という方向性には向かっていたとは思っている。

 最後に“演出ルーキー”としての僕の反省を。正直今回は演出というよりも制作担当者のような感じになってしまった。Festa全体の準備、運営にかなりの労力を割き、芝居創りに十分頭がまわらなかったことは確か。『隣の奴』で出演が決まっても、Festa全体+自分の演技に精一杯で演出はほとんどできなかった。また遠慮と言うわけではないが、稽古もメンバーに満足してもらいたいと思うあまり、ダメ出し時に言葉をひたすら選んでいたことが多かった。もちろん灰皿を投げつけるようなダメ出しをするつもりは毛頭ないが、コメディという芝居をしっかりと創るためにはもっとちゃんと自分の考えを役者に伝えなければいけないと考えている。さらに僕を筆頭にメンバー全員が、小屋入りして仕込が順調にいった後は「芝居ができる」幸福感に包まれてしまった。もちろん芝居をすることが楽しくて幸せで、それが一番だし夢の島プロジェクトの目標でもあるのだが、幸福感が過剰すぎて緊張感が足りなくなったかなとも思う。それもこれも僕がしっかりしていれば良かったこと。もっともっと精進しなければいけない。

 何はともあれ多くの方たちの協力を得て無事終了した1st Festa。至らぬ僕を支えてくれた皆さんに感謝感激。そして今回反省を生かして、これからの稽古や2nd Festaでは“芝居好きが集まるお祭りの場”に相応しく、もっともっとおもしろい芝居を創っていきたいと思う。


 みんな、みんな、ありがと〜!!! そしてこれからもよろしく!

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